Works

Into the Womb -I want to be born again-

Into the Womb -I want to be born again-

2024

『Into the Womb』は、再び生まれることを疑似体験するXRコンテンツである。作者は発達障害の当事者であり、もし障害のない状態で生まれ変わることができたなら、普遍的な愛を感じられるのではないかという願いを表現している。本作は、トラウマによって人間にとって最も重要な感情である愛を失ってしまった発達障害のある女性たちをめぐる社会的問題を提起するものである。 主人公は発達障害に苦しんでおり、周囲の人々に言葉巧みにだまされながら、愛をはじめとするさまざまなトラウマを抱え、生きづらさを吐露する。物語は、東京・新宿の歌舞伎町を、発達障害のある少女の視点から見る場面から始まる。体験者は、暗い夜の街から母親の胎内への回帰を目にし、矛盾に満ちた社会から逃れることを疑似体験する。そこで参加者は、母親の言葉や周囲からの励ましの言葉を聞き、自分が愛されていることを確かめる。さらに、胎内で手を動かすことによって、自らが再び生まれようとしていることに気づく。最後には、胎児と一体化して光に包まれ、再びこの世界に「生きて」生まれ出る。体験を終えてヘッドセットを外したとき、参加者は生まれ変わり、希望に満ちた世界を感じるのである。 本作は、再び生まれる疑似体験を通して、人々がトラウマから解放され、心温まる感情を抱けるようにすることを目的としている。 Shoko Kimura, Ayaka Fujii, Kenichi Ito, Rihito Tsuboi, and Yoshinori Natsume. 2024. Into the Womb -I want to be born again-. In SIGGRAPH Asia 2024 XR (SA '24). Association for Computing Machinery, New York, NY, USA, Article 9, 1–2. https://doi.org/10.1145/3681759.3688911 Contributors Shoko Kimura, Aoyama Gakuin University / Nagoya Institute of Technology Ayaka Fujii, National Institute of Advanced Industrial Science and Technology (AIST) Kenichi Ito, Diver-X Inc. Rihito Tsuboi, Game Sound Creator Yoshinori Natsume, Nagoya Institute of Technology

Inclusive Quiet Room -共生社会を目指して-

Inclusive Quiet Room -共生社会を目指して-

2022

世界には、「健常者」と「障害者」を隔てる「心のバリア」が存在する。私たちは、その「心のバリア」が取り除かれれば、世界はほんの少しだけ優しく穏やかな人々で満たされ、人と人との相互理解が促され、他者に対する差別や偏見も減っていくと考えている。 たとえば、感覚過敏のために、刺激の多い場所や人混みの中でパニック状態に陥りやすい人がいる。本作の作者にも、そのような感覚過敏のある者がいる。『Inclusive Quiet Room』は、心を落ち着かせるための空間に、映像と音の表現を組み合わせた「カームダウンルーム」である。そこには、制作者自身の経験が基盤として反映されている。簡易に設置できる構造物であるインスタントハウス、色彩豊かな光を用いたスヌーズレン、没入型のVR映像、リラックスできる音楽、柔らかなクッション、そして重みのあるチェーンブランケットを組み合わせることで、デジタル・リハビリテーション体験を生み出している。感覚過敏のある人々が少しずつ平穏を取り戻していく過程を感じてもらいたいと願っている。 本展示は、感覚過敏のある人々が気持ちを落ち着かせるために用いるカームダウンルームを、体験しやすい形で提示することによって、その空間への理解を促進することを目的としている。本作を制作したチームは、「健常者」と「障害者」とに人々が分けられる世界をなくしたいと強く願っている。 2022年、国連は日本政府に対し、障害者の人権を保障するため、健常者と障害者を分ける法制度や教育の見直しを含む、計200項目にわたる是正を勧告した。しかし、日本政府は現時点ではその勧告への対応に慎重な姿勢を示している。 私たちは、日本の多くの人々に対して、障害のある人にも人権があり、一人の人間として生きる権利があることを理解してほしいと願っている。障害があったとしても、人間として何ら変わるものではない。健常者であるか障害者であるかにかかわらず、人々が交わり、人生の喜びや楽しさを分かち合うことができるなら、これからの世界にはさらに多くの可能性が開かれると信じている。 Shoko Kimura, Kenichi Ito, Ayaka Fujii, Rihito Tsuboi, Kazuki Okawa, Hibiki Kojima, Keisuke Kitagawa, and Yoshinori Natsume. 2023. Inclusive Quiet Room -for building an inclusive society-. In ACM SIGGRAPH 2023 Emerging Technologies (SIGGRAPH '23). Association for Computing Machinery, New York, NY, USA, Article 9, 1–2. https://doi.org/10.1145/3588037.3603420 Credit Team Shoko KIMURA Kenichi ITO Rihito TSUBOI Kazuki OKAWA Hibiki KOJIMA Ayaka FUJII Keisuke KITAGAWA Actors Mone KITAZATO Miyuna HAYASHI Rihito TSUBOI Special Thanks Yasuhiro MINE Lagom Japan Co., Ltd. Philknot Co., Ltd. Yogibo Inc. Materials Teruteru Bozu by Atto_VRC ExWire by Hirai Real Stars Skybox Lite by Geoff Dallimore Skybox Rotation Shader by Guilty Star Nest Shader HLSL by Feyris77 Mandelbrot with “smart” AA by mrange (CC0) Digital Abyss by kishimisu (CC BY-NC-SA 3.0) Trip2016 by ophilbinbriscoe (CC BY-NC-SA 3.0)

Resonate with Fetus

Resonate with Fetus

2021

Resonate with Fetusは、胎児と妊娠に関する体験型コンテンツであり、妊娠と出産に対する前向きな理解を促すことを目的としている。 本作は、胎児VRシステムと触覚コミュニケーションシステムによって構成されている。 胎児VRシステムでは、胎児の状態をアーティスティックな映像と音によって表現する。 利用者は伸縮性のある布に包まれ、子宮内を想像したVRコンテンツを体験する。 また、体験中の状態に応じて音が変化するようオーディオミドルウェアを用いることで、胎児が子宮内で動くことのできる限られた範囲を表現している。 触覚コミュニケーションシステムでは、母親が腹部をなでることや、胎児が蹴り返すことなど、母親と胎児の相互作用を振動によって再現する。 妊娠経験のある女性が参加した胎動に関する実験では、装置による触覚が妊娠後期の6〜7か月頃の胎動に「似ている」と、参加者全員が回答した。 さらに、胎児VRシステム内のインタラクティブな音に応じて振動子も反応するようにし、子宮内の状態に対応した振動を利用者に提示することも目指している。 音と触覚の双方にこのようなインタラクティブな変化を導入することで、胎児および妊婦の状態を、より没入感をもって体験できるようになる。 私たちは、本作が将来的に医療教育や母性教育の教材として活用され、妊娠や出産を経験する人々とその家族との相互理解を深める機会となることを期待している。 また、本作が妊娠と出産に対して前向きな印象を与え、妊婦とその胎児に寛容な社会の実現に寄与することを願っている。

スゴミミ

スゴミミ

2021

非言語情報により感情が伝わることがある。相手の表情の変化から感情を読み取れる場合もあるが、表情が受け手に伝わらない場合もある。 非電源かつ軽量な表情拡張デバイス「スゴミミ」は、眉毛と頭部に装着した猫耳を模倣した薄い板をワイヤで接続させ、眉毛の動きをその板に連動させることで、眉の動きを拡張する。 表情伝達実験では、スゴミミを装着した場合、幸福感を表す感情がより効果的に伝わることが分かった。

Touch Love

Touch Love

2020

胎児体験VR「Into the Womb」の拡張として,母親と胎児のインタラクションを模した触覚伝送システム「Touch Love」を開発した.本システムでは,母親役が腹部に巻いた加速度センサを備えた妊婦ベルトを触ると胎児役が着たジャケットの背中側の振動子を通じて触れられた感覚が伝わるとともに,胎児役が加速度センサを装着して足を動かすと妊婦ベルトの振動子を通じて胎児に蹴られたような感覚が伝わる. 木村 正子(北陸先端科学技術大学院大学、名古屋工業大学) 藤井 綺香(東京大学) 伊東 健一(東京大学) 田中 由浩(名古屋工業大学)

Re:born 〜生まれる体験出産VR〜

Re:born 〜生まれる体験出産VR〜

2019

本企画では, 体験者が胎児となり生まれる瞬間を表現する. 産道を通過して, 自ら“生まれる”という体験を通じて, 「生まれてきてよかった!」という喜びを届けることを目的とする. 空気圧制御された風船で締め付けられる筒状の装置「産道筒」を通ることで, 暗く狭い産道を通り抜ける体験を表現し, 生まれる際の苦労を実感できるようにする. そして, 誕生の祝福感を映像や音で表現することで, 生まれた事は奇跡的で誰しもが祝福の中で生まれてきた事を伝える. 本作品を通じて赤ちゃんへの敬意を抱かせることで, 赤ちゃんやその家族に対する社会問題の解決に貢献したい. 木村 正子/藤井 綺香/星 宏侑/田丸 黎/宮内 涼将/朝倉 一希/鈴木 彰大/坪井 理人

Into the Womb -Born Again-

Into the Womb -Born Again-

2019

原案者は大きな人生の佳境点に遭遇し「生まれ変わりたい」と強く思いメディアアートとして本作品を制作した。そんな時に、もし母親の胎内に戻り生まれ直したら、別な人生を送れるかもしれないと思うようになった。その結果出来上がったのが本作品である。 母親の胎内に居る感覚に近づけるために、日本式の「おとなまき」という方法でシーツに包まれながらHMDで映像を見ることで胎児体験を行う。 今後は医療工学の分野で、パニック症状緩和や緊張状態を下げるリラックスを提供するデバイスとしても応用していく。母親の愛情と同じ様に包み込むような温かさを与える事でリラックスさせることができると想定している。 そして、社会的応用では父親など男性への子供への理解を促進させる。 木村 正子 藤井 綺香 長谷川 晶一 宮田一乘

Shining Baby -little-

Shining Baby -little-

2019

生命は光 美しい生命は万物を超越し存在する 人類の根源である胎児はまさしく光だと思う 母親の胎内に宿る胎児は 人類の希望であり未来である 私たちは生命を主体とした作品を作り続けています。 それは、生命の光を追い求めているからです。 木村 正子 (北陸先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科 修士1年) 藤井 綺香 (東京大学 情報理工学系研究科 博士1年) 奥部 諒 (東京大学 学際情報学府 修士2年) 渡辺 拓実 (東京大学 学際情報学府 修士1年) 田丸 黎 (北陸先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科 修士1年)

Electric World

Electric World

2018

大規模なコンピュータウィルスが発生した世界で、世界中のロボットは動かなくなってしまった。その中で、動くことのできる二体のロボットが巨大な鳥籠の中に残されていた。鳥籠はコンピュータウィルスから守るプロテクタであり 鳥籠の中にあるモントーンチェアは人がロボットと心を通わせるインターフェースである。二体のロボットは、何が原因で他のロボットがシャットダウンしたのかを知りたかった。調査をすすめていくうちに、ロボットの反乱を恐れた人類によるものであること、そしてウイルスを除去するためには人間の感情についてのデータを集めて理解する必要があることを発見した。ロボットたちはもう一度人間と暮らしたいと考え、人の心を知りたいと思った。一体のロボットは鳥かごの外に飛び出し、人間を探しに出かけた。 ロボットと人間が再び一緒に生きるために あなたはロボットと触れ合い そして新しい科学技術の世界を作り出す。 本作品はJH科学の「Electric Lolita City」の世界観をオマージュした作品である。BGMは東京とウィーンを繋ぎ、リモート製作を行った。 藤井 綺香 (東京大学 学際情報学府 先端表現情報学コース 修士2年) 木村 正子 (東京工業大学 環境・社会理工学院 科目等履修生) 里見 恵里嘉 (東京大学 農学生命科学研究科 国際情報農学研究室 修士1年) 坪井 理人 (明治大学 総合数理学部 先端メディアサイエンス学科 学部1年) 児島 響 (Musik und Kunst Privatuniversität der Stadt Wien- Komposition 学士2年)

Robot Love

Robot Love

2018

もしも、ロボットと人間が恋に堕ちたら、その先にはどんな未来が待ち受けているのだろうか? 子供として人間とロボットの ハイブリッドな存在の誕生はありうるのだろうか? そして、そのハイブリッドな存在を見たときに、私たちはどのような感情を抱くのであろうか? 愛は全てを超えるという信念の元、ロボットと人間の恋愛や身体的な愛情表現、そして生命と非生命の子孫を残すことのできる未来を、ロボットとVR空間で思い描き、現在の常識を”こわし”ていく。 作者は大人が胎児に戻るという作品を以前制作したが、その作品を作った後に、ただ生まれ変わるだけではなく完全な存在として生まれ変わりたいと強く願うようになった。人間は不完全な存在であり、知能も肉体も人工知能やロボットに追い越されそうになっている。もし、人間とロボットとの子孫繁栄が可能な未来が来たら、肉体的にも知能的にも完璧な存在が生まれるのではないかと考え本作品を制作した。 本作品はVRと実際のロボットを使用し、バーチャル世界と現実世界がリンクしている作品である。体験者はまず、VR内でロボットから愛の告白を受ける。その後、精子となってロボット卵子に向かって進んでいき、卵子に到達すると同時に現実世界では卵子の形をしたバルーンに包まれることで受精が行われるというものである。音響に関してもロボットの発話やナビゲーションの音声だけでなく、羊水や心臓の音をイメージしたサウンドをバックグラウンドに流すことで、受精に向かう高揚感を表現した。受精した後にHMDゴーグルを外すと自分とロボットとの間に生まれたハイブリッドな存在として子供ロボットが実際に現れ、その子供ロボットと一緒に手を繋ぎながら歩く体験ができる。VR世界だけでの体験ではなく、現実世界でロボットと触れ合うリアルな体験を組み合わせる事で、より体験の現実味を増し、メッセージ性の強い作品となったと考えられる。 藤井 綺香 (東京大学 学際情報学府 先端表現情報学コース 修士2年) 木村 正子 (東京工業大学 環境・社会理工学院 科目等履修生) 秋山 秀郎 (武蔵野美術大学 デザイン情報学科 学部4年) 近藤 恭平 (東京工業大学 環境・社会理工学院 建築学系 学部2年) Psy39 安西 渉 (東京工業大学 情報理工学院 情報工学系 学部3年) 吉岡 大輔 (慶應義塾大学 メディアデザイン研究科 博士1年) 山上 紘世 (豊橋技術科学大学 機械工学専攻 修士1年)

Into the Womb

Into the Womb

2017

子宮の中へ還りたい 生まれる前の自分に還りたい 母親の胎内と結合したい 生まれる前の自分を見つめたい 羊水に浮かびたい 温かい温もりに包まれたい そして、我に還り 子宮という宇宙の中を彷徨いたい 人生において様々な試練に会ったときに、「もしも、自分が生まれ変わる事ができたら…」「生まれる前に戻ることができたら…」とふと考えることがある。そのような思いからこの作品を制作した。 大きな子宮に包まれながらの胎内 VR 体験を通して、生まれる前の感覚に戻ります。胎児に戻る事で親の暖かみに包まれ、日常の忘れ掛けていた””人は必ず誰かに愛されている””感覚に気付き、本来のナチュラルな自分を取り戻すきっかけになれば幸いである。 作品を制作したきっかけ 「生まれ変わりたい」「自分の原点を見つめてみたい」そう強く想いこの作品を制作した。 作品の原案者は、作品を提案する時期にちょうど大きな人生の佳境点に遭遇した。その時、何度も「人生をやり直しできたら」と強く思った。不意な事も考えてしまうくらい自分を追い込んだ。そんな時に、もし母親の胎内に戻り生まれ直したら、別な人生を送れるかもしれないと思うようになった。その結果出来上がったのが本作品である。 本作品は2017年11月に東京大学で行われた第19回制作展にて展示を行い、「リラックスすることができた」「出産経験のない男性にこそ体験してほしい」などの評価を得た。 また今後は医療工学の分野で、パニック症状緩和や緊張状態を下げるリラックスを提供するデバイスとしても応用していきたいと思っている。母親の愛情と同じ様に包み込むような温かさを与える事でリラックスさせ、パニック状態を沈下させることができると考えている。 Credit 藤井 綺香 (東京大学 学際情報学府 先端表現情報学コース 修士1年) 木村 正子 (東京工業大学 工学院 機械システム系 研究生) 秋山 秀郎 (武蔵野美術大学 デザイン情報学科 デザインシステムコース 学部4年) Media 子宮VRでの胎児体験!?東大制作展(III Exibition)での「ありえない展示」のリアルに迫る