Inclusive Quiet Room -共生社会を目指して-

2022

Inclusive Quiet Room -共生社会を目指して-

世界には、「健常者」と「障害者」を隔てる「心のバリア」が存在する。私たちは、その「心のバリア」が取り除かれれば、世界はほんの少しだけ優しく穏やかな人々で満たされ、人と人との相互理解が促され、他者に対する差別や偏見も減っていくと考えている。 

たとえば、感覚過敏のために、刺激の多い場所や人混みの中でパニック状態に陥りやすい人がいる。本作の作者にも、そのような感覚過敏のある者がいる。『Inclusive Quiet Room』は、心を落ち着かせるための空間に、映像と音の表現を組み合わせた「カームダウンルーム」である。そこには、制作者自身の経験が基盤として反映されている。簡易に設置できる構造物であるインスタントハウス、色彩豊かな光を用いたスヌーズレン、没入型のVR映像、リラックスできる音楽、柔らかなクッション、そして重みのあるチェーンブランケットを組み合わせることで、デジタル・リハビリテーション体験を生み出している。感覚過敏のある人々が少しずつ平穏を取り戻していく過程を感じてもらいたいと願っている。

本展示は、感覚過敏のある人々が気持ちを落ち着かせるために用いるカームダウンルームを、体験しやすい形で提示することによって、その空間への理解を促進することを目的としている。本作を制作したチームは、「健常者」と「障害者」とに人々が分けられる世界をなくしたいと強く願っている。 

2022年、国連は日本政府に対し、障害者の人権を保障するため、健常者と障害者を分ける法制度や教育の見直しを含む、計200項目にわたる是正を勧告した。しかし、日本政府は現時点ではその勧告への対応に慎重な姿勢を示している。 

私たちは、日本の多くの人々に対して、障害のある人にも人権があり、一人の人間として生きる権利があることを理解してほしいと願っている。障害があったとしても、人間として何ら変わるものではない。健常者であるか障害者であるかにかかわらず、人々が交わり、人生の喜びや楽しさを分かち合うことができるなら、これからの世界にはさらに多くの可能性が開かれると信じている。


Shoko Kimura, Kenichi Ito, Ayaka Fujii, Rihito Tsuboi, Kazuki Okawa, Hibiki Kojima, Keisuke Kitagawa, and Yoshinori Natsume. 2023. Inclusive Quiet Room -for building an inclusive society-. In ACM SIGGRAPH 2023 Emerging Technologies (SIGGRAPH '23). Association for Computing Machinery, New York, NY, USA, Article 9, 1–2. https://doi.org/10.1145/3588037.3603420

Credit

Team

  • Shoko KIMURA
  • Kenichi ITO
  • Rihito TSUBOI
  • Kazuki OKAWA
  • Hibiki KOJIMA
  • Ayaka FUJII
  • Keisuke KITAGAWA

Actors

  • Mone KITAZATO
  • Miyuna HAYASHI
  • Rihito TSUBOI

Special Thanks

  • Yasuhiro MINE
  • Lagom Japan Co., Ltd.
  • Philknot Co., Ltd.
  • Yogibo Inc.

Materials

  • Teruteru Bozu by Atto_VRC
  • ExWire by Hirai
  • Real Stars Skybox Lite by Geoff Dallimore
  • Skybox Rotation Shader by Guilty
  • Star Nest Shader HLSL by Feyris77
  • Mandelbrot with “smart” AA by mrange (CC0)
  • Digital Abyss by kishimisu (CC BY-NC-SA 3.0)
  • Trip2016 by ophilbinbriscoe (CC BY-NC-SA 3.0)